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イギリスだけでなく、世界中の金融界で企業の統合が続いている。
日本も例外ではない。
買収による統合があれば、そこに必ず人員整理(すなわち合理化)が行なわれる。
経営の効率化を図り、統合の実をあげるために、これは当然のことだ。
両社の合併がおおやけになって二ヶ月ほど経ったある日、私は人事課に呼ばれ、「あなたには仕事がない」と宣告された。
要するに私を解雇すると言うのである。
私は抵抗した。
「成績があがっている私を解雇するなんて納得できない」
人事課長は即座に言った。
「解雇」ではなく「人員余剰による退職」と言ったわけである。
「どちらでも結果は同じではないか」と私は大声で怒鳴った。
職場に帰ると、同僚たちは黙って私を迎えた。
私の表情を見れば、何が起きたかは明らかだった。
職場は、合併後の新会社に残留できる者と、辞めさせられる者とに分かれた。
だからといって反目するわけでもないが、お互い声をかけにくいのは、人情として仕方のないところだ。
そうした心理は日本人もイギリス人も変わりはない。
このように、シティでは、会社自体が利益をあげていようと、個人の営業成績が好調であろうと、突然、失職の憂き目を見ることが実際に起きイギリスに来てシティで働き出してからこのかた、私も心の片隅にはいつも、失業という非常界だけでなく、あらゆる業界で、規模のメリットとより高い効率を求めて再編と統合が進められている。
時代の流れとはいえ、日本的な生涯雇用に慣れ切っていたサラリーマンには衝撃的な出来事だろう。
失職の衝撃とその後の不安に耐え切れず、自ら命を絶つ悲劇が後を絶たない。
あまりにも急速な環境の変化に、動転するなと言う方が無理であろう。
ロンドンのシティの連中は、すでに述べたようないくつかの状況による失職は最初から覚悟しているから、そういう目にあっても、それほど悲観しない。
自分の能力さえしっかりしていれば何とか生きていけるだろう、と腹をくくっている。
そのようなたくましさが彼らにはある。
農耕民族型の日本人も、これからは彼らのような狩猟民族的な感覚を身につける必要があるだろう。
すなわち、ひとつの企業で長期間働くことだけに絶対的な価値を置かず、場合によっては、新しい環境で新しい仕事に挑むのも悪くもないし、恥ずかしいことではないと気づくことである。
その過渡期として今は、会社の名前や学歴とは無関係に、個人として世間に通用する専門分野での実力と、それを生かせる人脈のネットワークを構築出来るかどうかが、日本のサラリーマンにとって重大な課題になりつつある。
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